今回はガバナーをはずしてみました。これは底から見た写真ですが、突き出ているギヤがエンジンからの動力を伝える部分です。右にあるアームが、コックピットから調節され、回転数を変えます。ただし見えているスプリングはスピーダースプリングではありません。スピーダースプリングは頭の部分に内蔵されています。
右の写真は、ガバナーをはずした跡のマウントです。
ギヤが入る部分や、オイルの通路が見えます。ギヤは、直接クランクシャフトから駆動されるのではなく、カムシャフト経由で駆動されます。
通常の整備でもはずすことは少ないので滅多にみれるものではありません。
2009年12月14日月曜日
2009年12月7日月曜日
真空ポンプ
飛行機の計器の中にはジャイロで作動しているものがあります。姿勢計と進路計、旋回計です。このうち旋回計を除く二つのジャイロを駆動しているのがこの真空ポンプです。これはエンジン駆動式になっており、通常エンジンの背中についています。エンジン始動とともにギヤで連動し、空気を吸い込みその流れでジャイロを回します。コックピットの空気をフィルターを通して吸い込み、計器を回して、最終的には写真上部の角みたいなものから吐き出しています。
右の写真下に突き出ているギヤを介してエンジンからの動力を受けます。しかしもしポンプ内部で焼きつきを起こしたらどうなるでしょう?下手するとそれがエンジン停止を引き起こすことになります。
ところが心配ご無用!この回転の軸はプラスチックで出来ています。ポンプが焼きついて停止してもエンジンがポンプを回しつづけようとすると、この部分が折れ、空回りをすることによってエンジンの停止を防ぐように出来ています。
安全に対してはとても細かい心配りがされています。
2009年10月25日日曜日
ストールウォーニングホーン
マウスのことではありません。その隣の小さいやつです。こんな小さな部品が飛行機についていて、大役を果たしています。彼の名は「ストールウォーニングホーン」。日本語では「失速警報」とでも言いましょうか。
飛行速度が遅くなったり、迎角(Angle of attack)が大きくなりすぎで失速しそうになると「ビー」という音で教えてくれます。
これはセスナ152のものですが、原理は至って簡単。まるで子供のおもちゃの「笛」です。飛行中、翼前縁についている穴に風が入ってくるのが普通ですが、迎角上がり過ぎると逆に吸い出されます。そうするとこの笛を「吸った」ことになり、音がする。簡単でしょう?電気も何も要りません。
パイパーのアローなんかは電気式になっていて、前縁についているタブが、迎角が上がった時の風で持ち上げられてスイッチ「オン」。電気のブザーが「ぶ~」という筋書きです。
2009年10月20日火曜日
キャブレター
ずばりキャブレターです。
この写真はセスナ172のものですが、セスナ152もほとんど同じ構造になっています。
エンジンの真下にあるというのは結構ポピュラーな位置。どうして~?だってさぁ、エンジンの上にあるとカウリングが高くなりパイロットが前を見れないでしょう。わかりました~。
写真左のエアインテイクから入った空気は、エアボックス(キャブヒートのバルブがあるところ)を経て、キャブレター本体に入り、ガソリンと混合され、上のほう(エンジン)に吸い込まれていきます。
下の写真がキャブレター本体です。ガソリンが入ってくるラインが映っています。操縦席のスロットルレバーでスロットルバルブが開閉されます。これが空気の流入量を調節。たくさん開けると空気もたくさん入り、出力アップ。空気がたくさん=ガソリンもたくさん燃やせるからです。ところが、急にバルブを開けると、空気はたくさん入るけど、ガソリンの気化がそれに追いつかず、エンジンが息継ぎをしたり最悪、停止します。
それを防ぐためについているのが「アクセルレーターポンプ(ドラえもん風に言って下さい)」。ごらんのように、スロットルバルブと連動して、バルブが開くと鯨の潮吹きのようにガソリンが「ちゅー」と押し出せれます。これで急な操作に対応していますが、やはり大切なことは急な操作を避けること。すべてのキャブレターについているとは限りません。
2009年10月16日金曜日
吸気、排気バルブ
飛行機にとっては迷惑かもしれませんが、とりあえず中を見たいということで、一肌脱いでもらいました。と言うよりも、帽子を取ってもらったくらいですかね今回は。
この写真は、シリンダーヘッドのカバーをはずしたところです。中には二つのバルブがあります。左が吸気、右が排気バルブです。上のほうにあるプッシュプルロッドがカムを押したり下げたりしてバルブが開閉します。普段は見えないんですが、この帽子の中で一分間に千回以上もぺこぺこ開閉してる目立たない存在です。
右の写真ははずしたカバーです。まだ新しくて光り輝いています。赤いゴム製品がガスケットで、カムからオイルが漏れるのを防いだり、カムにものがひっかかるのを防いだりしています。エンジン運転中はかなり熱くなります。
2009年10月7日水曜日
燃料ポンプ
セスナのような高翼機は翼のタンクから燃料は重力で勝手にエンジンに降りていきます。低翼機の場合はエンジンより低いところにタンクがあるため、ポンプでくみ上げる必要があります。
通常一つのエンジンにポンプが二つあります。なぜ二つ?ポンプを回す動力は、いつも回ってるもの、つまりエンジンが回すようにすればわざわざ専用の動力を持たせる必要がないですね。ところが、それが壊れてしまったらどうなる?そんな時のバックアップ用にもう一つ、電動ポンプがついています。
最初の写真はパイパーアローのエンジン駆動燃料ポンプ(engine driven fuel pump)。実は回転式でなく、昔の井戸のポンプみたいにハンドルを上下に動かす往復式です。エンジン駆動式なのでエンジンの傍、アローの場合は後ろにあります。
下の写真は同じくアローの電動ポンプ。エンジン駆動式のものが壊れて、エンジンが止まりそうな時に使う他に、エンジンスタート時のプライマー代わりとして、離着陸時にもバックアップとして使います。コクピットのスイッチでオン・オフできます。
通常一つのエンジンにポンプが二つあります。なぜ二つ?ポンプを回す動力は、いつも回ってるもの、つまりエンジンが回すようにすればわざわざ専用の動力を持たせる必要がないですね。ところが、それが壊れてしまったらどうなる?そんな時のバックアップ用にもう一つ、電動ポンプがついています。
最初の写真はパイパーアローのエンジン駆動燃料ポンプ(engine driven fuel pump)。実は回転式でなく、昔の井戸のポンプみたいにハンドルを上下に動かす往復式です。エンジン駆動式なのでエンジンの傍、アローの場合は後ろにあります。
下の写真は同じくアローの電動ポンプ。エンジン駆動式のものが壊れて、エンジンが止まりそうな時に使う他に、エンジンスタート時のプライマー代わりとして、離着陸時にもバックアップとして使います。コクピットのスイッチでオン・オフできます。
2009年10月3日土曜日
2009年9月26日土曜日
スクワットスイッチ
引込脚は便利でカッコいいが、地上でうっかりレバーを引いてしまうとさあ大変。
そんなうっかりさんのための安全装置がこの「スクワットスイッチ」。
地上にいる時は機体の重みでスイッチが「オフ」の状態なので、ギヤレバーを動かしても作動しません(上の写真)。
機体が浮上すると今度は脚が重みでぶら下がった状態になります。するとこのスイッチが押されて「オン」の状態になり、脚挙げの動作が始まります(下の写真)。これがひざの曲げ伸ばしに似ていると言うのが名前の由来です。
これはパイパー社の「セミノール」という飛行機の例ですが、結構この手の仕組みがポピュラーです。ただし、すべての飛行機がこの安全装置をもっているとは限りません。飛行機のマニュアルをよく読んで調べておいてください。
更に、この安全装置は、機体が地上で落ち着いている時には安全ですが、着陸直後などまだ上下している時は当てになりません。そこでうっかりギヤレバーを上げると・・・考えたくもないことが起こります。
そんなうっかりさんのための安全装置がこの「スクワットスイッチ」。
地上にいる時は機体の重みでスイッチが「オフ」の状態なので、ギヤレバーを動かしても作動しません(上の写真)。
機体が浮上すると今度は脚が重みでぶら下がった状態になります。するとこのスイッチが押されて「オン」の状態になり、脚挙げの動作が始まります(下の写真)。これがひざの曲げ伸ばしに似ていると言うのが名前の由来です。
これはパイパー社の「セミノール」という飛行機の例ですが、結構この手の仕組みがポピュラーです。ただし、すべての飛行機がこの安全装置をもっているとは限りません。飛行機のマニュアルをよく読んで調べておいてください。
更に、この安全装置は、機体が地上で落ち着いている時には安全ですが、着陸直後などまだ上下している時は当てになりません。そこでうっかりギヤレバーを上げると・・・考えたくもないことが起こります。
2009年9月16日水曜日
オイルクーラー
小型飛行機のエンジンは空冷式が多い。零戦も疾風も隼も全部空冷式だ。セスナもそうだ。
オートバイのようにシリンダー周りに刀の鍔状のものがあって、冷却面積を増やして効率を上げていますが、そのほかにエンジンオイルが重要な役目を背負っています。それは、潤滑だけでなく、やはり冷却なのです。エンジン各部に回ったオイルが熱を取り去ってくれる。そしてまた冷却されて冷たくなったオイルが各部に回る。この繰り返しでエンジンは常に適温に保たれるのです。
今回の写真は、セスナ152のオイルクーラー。この細い管の中を通るオイルに風が当たり、熱を取り除いてくれる。結局オイルも空冷じゃん、といえばそれまで。だってそれを言い出すと水冷エンジンだってラジエターで冷却水を冷やすのは空気の役目。難いことは言わない。
セスナ152の場合はとてもわかりやすい位置にあり、空気も当たりやすいですが、機種によってはエンジンの後ろ側になるのもしばしば。そういう場合は何とか空気が当たるように、誘導板なんかを工夫してあります。
オートバイのようにシリンダー周りに刀の鍔状のものがあって、冷却面積を増やして効率を上げていますが、そのほかにエンジンオイルが重要な役目を背負っています。それは、潤滑だけでなく、やはり冷却なのです。エンジン各部に回ったオイルが熱を取り去ってくれる。そしてまた冷却されて冷たくなったオイルが各部に回る。この繰り返しでエンジンは常に適温に保たれるのです。
今回の写真は、セスナ152のオイルクーラー。この細い管の中を通るオイルに風が当たり、熱を取り除いてくれる。結局オイルも空冷じゃん、といえばそれまで。だってそれを言い出すと水冷エンジンだってラジエターで冷却水を冷やすのは空気の役目。難いことは言わない。
セスナ152の場合はとてもわかりやすい位置にあり、空気も当たりやすいですが、機種によってはエンジンの後ろ側になるのもしばしば。そういう場合は何とか空気が当たるように、誘導板なんかを工夫してあります。
2009年9月13日日曜日
キャブヒート
運送屋さん時代の先輩に「昔のトラックはよくキャブアイスが起こったもんだ」という話をたびたび聞かされていましたが、飛行機の場合「昔の」話ではなく現在進行形。
キャブレターの中で、燃料が気化しているので、気化熱を奪われ、キャブ内部の温度は急激に低下。外気温が20℃を超えている場合でも、キャブ内は氷点下、湿度が高ければ着氷だ。
そうすると、キャブの内径が小さくなり、取り込める空気の量が減り、急激な出力低下となり、高度の維持も出来なくなったり、最悪はエンジン停止の危機!
そこで登場「キャブレターヒート」。これでキャブを暖め、氷を溶かそうって魂胆。レバーを引っ張ると、エアボックス内のバルブが開き、今まで外部から取り入れていた空気の変わりに、排気管周りで暖められた空気が別の口から入っていく。この暖かい空気が氷を溶かしてくれ、めでたしめでたし(下の写真)。 気をつけたいのは、暖かい空気は密度が少ないこと。そのため、キャブヒートをオンにすると、最初回転数が更に下がる。これは仕方のないことなので慌てず我慢してください。やがて、徐々に回転数が復活するはずです。
2009年9月7日月曜日
エンジンの出力はどうやって調節?
車ではアクセルを踏むことでエンジンの出力を上げ、加速することが出来ます。
飛行機の場合、アクセルとはいわず、スロットル(Throttle)という。これをセスナの場合は右手で操作するんです。
自分で乗るまで考えもしてなかったのが、このスロットルレバーの形。
写真はセスナのものですが、なんと計器版から棒が突き出ているではないですか。
もっとカッコいいものを想像していたのですが、やってみないと分からないです。
そうすると操縦桿は左手で操作すると言うことになります。戦闘機なんかと反対ですが、旅客機や貨物機はこうなっています。理由は副操縦士が右席に座っているので、左右どちらの席からでも手が届くように間にスロットルが配置されているのです。戦闘機は一人乗りなので、利き手の右手で操縦桿を握れるようになっています。
スロットルを前方に押し込むと出力が増大し、手前に引くと減ります。出力はタコメーター(Tachometer)に反映されるので、必要な回転数になるようにスロットルを調節してやりましょう。
2009年9月5日土曜日
プロペラガバナーの位置
「プロペラガバナーはスピナーの中にある」というのは大間違い。
教官クラスになっても約半数の人はそう信じ込んでいる。実物を見てみるとそうではないことが分かるんですが。
これはパイパー「セミノール」のガバナーの例。プロペラ直後のエンジン上に横向けに取り付けられているのが分かります。同じパイパーの「セネカ」やビーチクラフトのバロンもこの位置です。
次の写真はパイパーの「アロー」のガバナー。写真では分かりにくいですが右手がエンジン、つまり飛行機の進行方向で、左手が胴体です。このようにエンジンの背中についている例は他にはビーチのトラベルエアーなんかです。
この二通りがもっともポピュラーな位置です。スピナーの中にはガバナーはない。スピナーの中にあるのは実際にピッチを変化させる機構です。
2009年9月4日金曜日
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